「2階に上がれ!靴忘れんなよ!」
そんな僕を見ていた彼女のお母さんいわく、
波に背中を押されているんじゃないかと見えるようだったと聞きました。
本当にギリギリで階段を駆け上がると、後ろからいろいろなものが悲鳴のような轟音を立てました。
車は流されましたが、なんとかまた生き残れました。
2階の部屋に通されると、彼女のお母さんが泣きながら怒っていました。
「あんたたち!なんで大人しく避難所に行かなかったの!」
「だってぇ…」
そこからは暫く親子ならではのやり取りを。
でも、微笑ましい再会ではなく、事態はもっと逼迫していました。
「もうこっから動けねぇなぁ…」
ばーちゃんがぼそっと呟き、ベランダのほうをじっと見ていました。
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