シャワールームがない!?
ツアー開催責任者がその会場にきて愕然としました。
シャワールームがない!
スタッフは慌てました。
開催時間が迫っており、今さら会場の変更など出来るわけありません。
「ツアーのためなら何でもやるよ。
ただ、ライブの後に必ずシャワーを浴びられるようにしてくれないか。」
矢沢さんが出した条件はこれだけ。 このたった一つの約束を守れない。
全責任は自分にある
ライブ責任者は自分を責めました。
何とかならないかと町中を走り回りました。
やっと手に入れたのは子供が使うような簡易シャワーのみ。
コンサートが始まる前に矢沢さんに謝罪しよう。
もし矢沢さんが怒ってコンサート中止になっても仕方がない。
全責任は自分がとるしかない。 意を決めて矢沢さんの元に、
手違いでシャワールームが用意できなかったことを謝罪し、
「こんなものしか用意できませんでした」と簡易シャワーを見せました。
「すべて私のミスです。自分の責任です」
責任者は、そう言って頭をあげられないでいました。
一流の人間が一流の仕事を見抜く瞬間
「 マネージャー、ちょっと 」
矢沢さんはスタッフ呼びました。
このまま帰ってしまう、責任者が覚悟した瞬間、矢沢さんの口から意外な言葉が⋯
「これからはこのイベンターが持ってくる仕事、すべて引き受けますから」
そう言い残して颯爽とステージに向かった矢沢さんの真意は
言葉にするまでもないでしょう。