300:とんかつ ◆voT6OcgkPo:2008/07/13(日) 20:08:51.74ID:u/wRPGoo
俺はまなみと対面することが許された。
点滴とおびただしい数の線に繋がれていた。
頭には包帯がひどく厚く巻かれていた。
俺が呼びかけると、まなみが反応した。
虚ろな目をしている。
意識は混濁しているらしい。か細い声で、何度も言う。
「ありがとう、ごめんね」
俺が何を言っても、そうとしか返さない。
まなみの家族が声をかけても、同じ言葉しか返さなかった。
そしてそのうち、再び意識を失った。
301:とんかつ ◆voT6OcgkPo:2008/07/13(日) 20:09:36.27ID:u/wRPGoo
呼吸困難になりそうなくらい、胸が詰まった。
なぜか涙は出なかった。
お袋さんは、親父さんを病院に連れてくるために一旦帰宅した。
俺と弟は再び無言の時を過ごす。
まなみの寝顔をずっと見ていた。
まなみは目が見えなくなってからも、出掛ける時はまつ毛をあげて髪を整えていた。
眉毛は俺が整えていた。
わざわざ苦労してあげなくても、十分長いまつ毛だと思っていた。
眉の辺りには、汗がにじんでいた。
眉毛を整えている時に、唐突にキスしたことがあった。
まゆみは驚いて、ニコニコしながら照れていた。




