298:とんかつ ◆voT6OcgkPo:2008/07/13(日) 20:06:10.13ID:u/wRPGoo
歩道橋を1番上まで昇る。
階段を昇るとき、杖は小気味良いリズムをたてる。
歩みとリンクしながら、杖は鳴る。
道路を下に見ながら、下りの階段に向かう。
そこに、いつもと違うモノはあった。
階段をくだる前に、杖を先行させる。
カッという乾いた音の後に、一つ目の階段に足が接地する。接地するはずだった。
そのよく晴れた日、まなみの足が捉えたのは無造作に捨てられた空き缶だった。
まなみは落ちた。大きな歩道橋の階段から、一瞬で転げ落ちた。
いつもの杖は宙を舞い、道路に落ちた。車に轢かれて、バラバラになった。
299:とんかつ ◆voT6OcgkPo:2008/07/13(日) 20:07:58.86ID:u/wRPGoo
急性硬膜外血腫。至極簡単に言えば頭蓋骨骨折に伴う脳出血だった。
他にも腕二箇所、足一箇所、肋骨も一つ骨折していた。
俺に電話が入り病院に駆けつけた時は検査の最中だった。
手術をするのなら、頭を開かなければならないそうだ。
俺はまなみの弟、お袋さんと無言の時を過ごした。
お袋さんも一度俺に礼を言ったきり、口を開かなかった。
開頭手術は、行われなかった。
脳ヘルニアを合併していたためか、呼吸障害と意識障害も現れていた。重症だった。
手術に耐えられる体ではなかったそうだ。




