俺は、病院へ駆けつけた。
無菌室にいる彼女をガラス越しに見た瞬間、
俺は周りの目を忘れて怒鳴った。
「お前、何勝手な真似してんだよっ!俺はそんなに頼りないかよっ!!」
彼女は俺の姿を見て、しばらく呆然としていた。
どうして俺がここに居るのかわからない、という顔だった。
その姿は本当に小さくて、今にも消えてしまいそうだった。
でもすぐに、彼女はハッと我に返った顔になり、
険しい顔でそっぽを向いた。
俺は、その場に泣き崩れた。堪らなかった、
この期に及んでまだ意地をはる彼女の心が。
愛しくて、悲しくて、涙が止まらなかった。
その日から手術までの2週間、俺は毎日病院に通った。
けれど、彼女は変わらず頑なに俺を拒絶し続けた。
そして手術の日。俺は会社を休んで病院に居た。
俺が病院に着いた時にはもう彼女は手術室の中だった。
手術は無事成功。けれど、安心は出来なかった。
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