他では感じたことのない独特の緊張感
2017年1月、新潟少年学院の講演でATSUSHIさんは今までにない独特の緊張感を感じマイクを持つ手が震えるほどだったと言います。そのときの様子を彼はこう語っています。
あの緊張感は独特です。
刑務官の先生方にお話を聞けば、ほぼ7割、それ以上の子たちが、家庭環境になんらかの問題を抱えているといいます。
彼らの中の一人の子は、親からお前なんかいらないと言われ、そのことがずっと心に残っていて、自分はこの世に必要ない存在
なんだと思い込み、自暴自棄になって、犯罪を繰り返し、少年院送りとなってしまった、少年もいます。
それが、犯罪を犯す、正当な理由にならないことは分かっています。
しかし一見、みな丸坊主にしていますし、純粋に見えるのですが、その目の
奥には、そのまま純粋な子もいれば、悲しみや、孤独、怒り、憎しみ、様々
な感情を持った子たちが、そこにはいました。
その全ての子たちが、異なる環境において、異なる感情を抱えていることを感じさせられました。
多くの問題を家庭で抱え、結果として犯罪に走った受刑者たち、言い訳にならないことはわかっていても、実際に彼らの視線からは普段感じることのない独特な感情を感じたそうです。
少年院を訪問中、ATSUSHIさんが動揺させられる瞬間があったそうです。
その視線が訴えていました「彼らも助けを求めているんです」
ATSUSHIさんは語りました。
『妹のことで相談してきた少年がいました。「妹がいじめられている、どうしたらいいか」
後で聞いた話では、彼もいじめにあって苦しみ、その結果、犯罪を犯し少年院に入ったとのことでした。驚いたのはその目でした。
その目は、怒り、孤独とともに助けを求める、複雑な感情が入り混じった目でした。
今まで生きてきて、あんな目で見られたことがなかったので正直、動揺しました。』
「プライドを捨て、助けを求めることも強さであること。誰かに助けを求めることが重要だ」
とATSUSHIさんは相談を受けた少年に返し、その少年も納得した様子だったとのこと。
少年院訪問の最後に、少年たちは花道をつくり、ATSUSHIさんを送ってくれたそうです。
そして最後に、ATUSHIさんから彼らに大切なメッセージがありました。
“ 俺は今日、ファンサービスしにきたわけじゃないから。二度と同じ過ちを繰り返さないように、もうこの様な場所には戻ってこないと、約束してください。
そして、悪いことをして、いつもコソコソ生きるような、そんな生き方を選ばずに、ここを出たら堂々と、楽しい人生を歩みながら、
いつの日か、堂々と僕のライブに会いにきてください。
ATSUSHIさんの熱い言葉には、ファンや非行に走った子を持つ親御さんから多くの反響がありました。
音楽で自分のポジションを築き、これからは海外での活動も視野に入れて拠点をアメリカに移そうとしているATSUSHIさん、でも、テレビ視線が苦手でかけたサングラスの下には真面目な男の純粋な目がありました。