ベランダに出てみると波はおさまり、
大海原に家がポツポツと浮かんでいるような、そんな風景が広がっていました。
「おおーい!こっちだー!ここだー!助けてくれー!」
年老いた声が聞こえてきました。
はっとして下を見ると、目測20メートルほど離れた場所にある車の天井部分に、人影が見えました。
「怪我されているんですか!?」
こちらが応えると
「水に濡れてしまった!寒くて一晩持ちそうにない!助けてくれ!」
聞けば津波に揉まれたものの、たまたま浮かんでいた防砂林の流木にしがみつき、
そこに行き着いた、とのことでした。
「ちょっと俺行ってきます。ここに連れて来てもいいですか?」
「波は大丈夫なの?」
「多分。浮いてるものも動いてないし」
服が濡れると後が辛いと思い、彼女の前で気恥ずかしいものの、下着一枚になり助けに向かうことに。
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