男「ええ。でもときどき、会話が噛み合ったりするとすごく嬉しいんですよ」
男「声をかけて、偶然こちらを見てくれたりとかもね」
女「せつないですね」
女「じゃあわたしに話しかけたのも……」
男「いえ、それはすこしちがいます」
男「もうここ半年ぐらいは、そういうのもやめたんです」
女「じゃあ、どうしてわたしに?」
男「飛び降りようとしてたからです」
女「……」
男「一週間前からずっと、あなたの背中に声をかけ続けてたんです」
男「でもどんなに呼びかけても、あなたは泣き叫んで僕の声をかき消すんですよね」
女「飛び降りれなくて。そのたびに泣いてたの、見てたんですね」
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