男「死んでから、ずっといろんな人に話しかけてたんですよ、僕は」
女「人と話すのはきらいだって、さっき言ってましたよね?」
男「ええ。ですけど、何年たってもやることがないんですよ?」
男「知ってる人とすれちがっても、もちろん気づいてもらえない」
男「僕のことを見てくれたのは、たぶんカメラとかだけなんじゃないですか」
女「……」
男「死んでからはじめて思ったんです。誰かに気づいてほしい」
男「誰かとお話したいって」
男「死んでからはいろんな人に話しかけましたよ」
男「公園のベンチでぼーっとしてるおじいさんとか」
男「砂場で遊んでる小さなお子さんとか」
男「明らかにコワそうな集団に飛びこんだりもしました」
男「もちろん、誰も気づいてくれませんけどね」
女「かえってつらくなりません、それ?」
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