「傘、忘れたんじゃない?
ちょうど、今降り出したばかりだから。
これ、持っていきなよ」
といって、自分の持っている傘を差しだしてくれたのです。
「でもこれっておじさんの傘じゃないの?」
「私のことを気にすることはありませんよ。とにかく持っていってください」
自分の傘をお客さんに渡して、
自分は濡れて帰ってもいい。
普通はなかなかそんな風に
考えることはできないと思います。
管理人のおじさんは、
いつもこんな調子で自分のことよりも
お客さんのことばかり考えてくれるような人でした。
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