学生時代に気になっていた「貧乏な後輩」。しかし時間が経ったことで、それが恋だとわかり…。

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それからしばらくして、お店に来たお客さんの話でお袋の言葉の意味が分かった。
その家庭は母子家庭で子供が4人もいた。早くに親父さんをなくして母親1人で育てていた。
しかも、その兄弟の1人が中学生で俺と同じ部活の後輩だということも分かった。その後輩は女の子で普通の子だった。ただ、思い出して見ると、
お弁当を忘れて来る日が結構あった。俺はそのことと、聞いた話とが一気に合わさった。
俺はショックだった、どうして今まで気付かなかったのかと悔やんだ。
別に何をしてあげるというわけでもないのに、とにかく自分の無神経さに腹が立った。 俺は次の日から、その後輩に話しかけるようにした。できるだけ近くにいようとした。
そうしないと気がすまなかった。
俺はお弁当を2人前持って登校するようにしていた。うちの中学は弁当は部室で食べることが基本になっていたので、
後輩がお弁当を持っていないと分かったときには
「俺もう食えないから1つ食ってくんない?」とあげることにした。
遠慮しながらも「ありがとうございます」と嬉しそうな顔をしてくれるのが
俺の何よりの楽しみだった。