屋上に1人でたたずむ女性に、男が「待て!その前に抱かせてくれ」!その結果まさかの展開に…。

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女「普通にコミュニケーションできる人なら、あんな止めかたはしないでしょうから」

男「たしかに。本当はもっとまともなことを言うつもりだったんですよ」

男「けど、今日になって僕の声はあなたに届きました」

男「不謹慎ですけど、嬉しすぎて舞いあがっちゃったんですよ」

男「『僕の声が届いた!』って、はしゃぎそうになりました」

女「のっけから言いたい放題でしたもんね」

男「はい、あんなに自分が口達者だとは夢にも思いませんでした」

女「ありがちな説教をされてたら、わたしはあそこから飛んでました」

男「じゃあ僕の説得は正解だったわけですね」

女「どこが説得だったんですか」

女「自殺することじたいは、止めなかったじゃないですか」

男「まあ結果オーライじゃないですか」

女「なに言ってるんですか?」

男「え?」

女「わたしがたどる結末は変わりません」

男「普通ならここで、僕の話を聞いて考え方を変えるって展開じゃないんですか」

女「あなたのおかげで救われたなんて、そんな展開はごめんです」

女「ですが、延長しようと思います」

男「延長?」

女「今日はむだにお話して疲れました」

女「ですので、明日の午前十一時にまたマンションの前に来てください」

男「え? あなたはどうするんですか?」

女「今日は寝ます」

男「は、はあ」

女「言っておきますけど、あとをつけたりしないでくださいね」

男「……読まれてましたか」

女「明日また会いましょう。おやすみなさい」

男「……おやすみなさい」

男「いやあ、長いんですよねえ」

女「会ってそうそうなんですか」