第一印象は「デカい女」って、そんな感じでしたけど
旦那さんの唐沢さんは52歳。山口さんと同じように、その年齢を感じさせないのはお互いにいい影響を与え合っているせいなのでしょうか。お二人が初めて共演したのは28年前の朝ドラ「純ちゃんの応援歌」でした。その時の唐沢さんの山口さんへの印象は「デカい」だったとか、唐沢さん得意の照れ隠しですね。
山口は唐沢の第一印象を「日本一、顔の小さい男だと思った。握り拳くらいしかない」と結婚後に雑誌インタビューで語っている。
この作品(「純ちゃんの応援歌」)がデビュー作で初主演の山口は、舞台や東映の特撮スーツアクター
スタントや声の吹き替えなどで既に下積み経験の長い唐沢に「女優としてやってく自身がない」など
と撮影の合間にたびたび悩みを打ち明けていた。
朝ドラをきっかけに交際を始めたお二人は7年の交際期間を経て、ご結婚。その間には山口さん宅に暴漢が押し入ったり、お二人でなければ乗り越えられなかった出来事もたくさんありました。
「あんたが出ていきなさい」母からの無情なことば
横暴な父親と母親の夫婦喧嘩が絶えず、ある日唐沢は夫婦喧嘩に割ってはいり、母親の味方をした。
「おふくろが出ていくことはない。親父を追い出せばいいんだよ。」と言い、父親を脅すつもりでモルタルの壁を叩き崩すと
「お前が言えた義理か」と言いながら父親が家を出ていった。これで家は安泰だと思ったが、母が一言。
「あんたが出ていきなさいよ」唐沢は新宿行きの電車の中で泣いた。家出をし学校をやめたのは高校2年の2月。両親には勘当された。
3人の母と娘、選べない環境を生きる
江戸時代から続く由緒ある老舗旅館が山口さんの実家です。実家は栃木県で、小学1年生のときに両親が離婚、山口さんは母親と妹と3人で長野に引っ越しますが、旅館を経営していた祖母を慕う山口さんは、1人栃木の父親のところに戻ります。その後20歳の時に祖母と養子縁組をし祖母が母親となりました。しばらくして山口さんの結婚後、父が再婚し継母が祖母に代わり女将となります。山口さんは3人の母を持つことになったのです。現在のお二人からは想像もつかない幼少期です。元気で明るいキャラクターの裏に一人悩む過去があったことは、周りの誰も知ることはありませんでしたが、朝ドラで巡り合った時から、お二人には互いに感じるものがあったのかもしれません。結婚後もおふたりのラブラブぶりは変わりません。「いっしょに手をつなぐ」「抱っこしてもらう」いつもいっしょにいたい、その時間が自分にとって世界で一番幸せを感じるときだとお二人は語ります。「子供を産んで育てる人生を望まない」山口さんの言葉に共感し、二人の世界を尊重する唐沢さん。家庭とか親子とか、そういう関係で互いの繋がりを思うのではなく、ただ率直に自分の前にいる人を愛することに幸せを感じる、そういう生き方があっても良いのではないでしょうか、もちろん、お二人は誰の同意も必要としてはいません。それが「彼ら」の夫婦の形だからです。