『アメリカン・アイドル』出身の歌手
2002年のアメリカ合衆国でスタートした、大人気の歌手オーディション番組『アメリカン・アイドル』は、“誰でも自由に番組へ参加できて自分でアイドルを選出できる事”が最大の特徴。歌唱力でデビューを狙う以外にも、個性を全面に推したユニークさで挑戦する人がいたりと表現は多彩で、視聴者はまるで宝物探しのような気分になれる番組として現在も人気を維持しています。優勝者はレコード会社と契約して本当に歌手デビューすることができ、スターを目指す者の登竜門となっています。
ケリーの過去
『アメリカン・アイドル』の第1シーズンに出場し優勝を獲得したケリー・クラークソンさんは、今や世界中で活躍するポップロックシンガーです。ですが、現在の輝かしい彼女の過去には、なかなかに辛い現実がありました。ケリーさんが学生の頃、夢は必ず叶うものではないとして歌に対し遠慮をしていました。ですが彼女は心の奥底で夢の成就を願っていたらしく、メキメキと音楽の才能を伸ばしていたのです。お金を貯める為にカルフォルニアで暮らし始めた矢先にケリーさんが住んでいた家は火事で全焼、絶望に包まれながら地元のテキサス州に逆戻りすることとなりました。この後に友人のすすめで『アメリカン・アイドル』に出場しています。しかしケリーさんにとっては家が燃えた事よりも辛い過去がありました。
涙の理由は
ある日、『アメリカン・アイドル』にゲスト審査員として出演し、歌を披露することになったケリーさん。そこで彼女が歌ったのは自身の「父親」と「夫」について歌った曲『Piece by Piece(ピース・バイ・ピース)』だったのです。
ケリーさんの父親は彼女が6歳の頃に家族の元を去っており、この件はケリーさんの中に「自分には愛される価値がない」という深い心の傷をもたらしていました。現在は夫のブランドンさんと子どもを授かったことで「自分には愛してくれる男性がいて、愛される価値がある」と感じられるようになり、少しずつ傷は癒やされているようです。彼女にとって非常に思い入れのある特別な曲だったため、これまでの人生を思い返し感情が溢れてしまったケリーさん。涙をこらえつつ歌声を披露する姿に、審査員や観客も涙を流し最高のステージとなりました。これからの人生が彼女にとって幸せなものであるよう、筆者も祈っております。