元名物プロデューサー吉川氏
新著『たけし、さんま、所の「すごい」仕事現場』（小学館新書）という本を執筆した吉川圭三という人がいます。
吉川氏は、本書で大御所の3人の謎を正面から解き明かしています。
吉川氏は日本テレビで多くの長寿番組を立ち上げてきた元名物プロデューサーです。
『世界まる見え！テレビ特捜部』ではたけし・所の2人と、『恋のから騒ぎ』『踊る！さんま御殿』ではさんまとタッグを組みました。
吉川氏は次のように著しています。
私は30年超のテレビ屋生活で、幸運にも3人の天才の『プロフェッショナリズム』を間近に目撃することができた。彼らは一見、天衣無縫に見えるけれども、その内実は『仕事人としての哲学』にあふれている。安易な焼き直し番組が量産され『テレビ離れ』などと揶揄されるなか、後進のためにプロとしての彼らの姿を残しておきたいと執筆を決意したのです
カンペーを見ない所ジョージ
吉川氏の新著『たけし、さんま、所の「すごい」仕事現場』（小学館新書）には所ジョージのすごい逸話が書かれています。
吉川氏は「所さんほどの『テレビのプロ』はいない」と断言しています。
彼の職人気質を象徴する逸話として、「所はカンニングペーパーを絶対に読まない」という事実があるそうです。
所自身はその理由を、あるテレビ番組でこう答えていました。
テレビではいつも茶の間、視聴者のことを考えている。カンペーを読むと、見ている人が『あ、読んでる』って思うでしょ。その瞬間、きっと何か大事なものが失われると思うんだよね
視聴者の臨場感にまでこだわる気遣いはさすがです。
消して涙を流さない所ジョージ
また所ジョージはどんな感動的なVTRをみても消して涙を流さないそうです。
確かに、所ジョージの涙をみた記憶はないかもしれません。
「お茶の間最優先主義」を貫き、「自作自演な感じ」「押しつけがましさ」が画面に出ることを何より嫌うそうです。
だからこそ過度な感情は表に出さない主義だそうです。
吉川氏はさらにこのように著しています。
驚くべきは、彼が収録でどんな突飛な発言をしたと思っても、オンエアで使えないことがほとんどない事実。視聴者の気持ちを慮るような『なるほど』と思える発言ばかりなのです。彼は私によく『番組収録では生放送のように編集なしの完パケで撮るのが理想』と語っています。現場での空気感をどうお茶の間に伝えるかを常に考えている彼ならではの言葉です
人たらしな所ジョージ
さらに所は「芸能界最強の褒め上手」であると言われています。
決して歯の浮くようなお世辞はいわないが、“面白いね～”“最高じゃん”という一言でスタッフから共演者まで、相手を選ばずいい気持ちにさせる。過去には、収録開始時に激怒していた横山やすしをいつの間にかニコニコ笑顔にさせてしまったこともある。黒澤明や大江健三郎にも愛されていました
誰からも愛されていた最強の人たらしだったと吉川氏は語っています。
長く人に愛され続けながら芸能界の頂点に立ち続けるには、やはり人とは違うポリシーや気遣いがあるようです。
