男「それで、いったいここへなにしに来たんですか?」
女「わかりませんか?」
男「思いあたることがありすぎて、ちょっと」
女「そうですか」
男「ちょ、ちょっと……!」
女「塀のうえに登ったぐらいで、そんな声を出さないでください」
女「あなたは言いましたよね? 自分にわたしを止める資格はないって」
男「言いましたけど、それは……」
女「嘘をつくのはよくありませんよ」
男「自分で自分を殺すよりは、マシだと思いますよ」
女「……」
女「なにか勘違いしてません?」
女「もう一度言います。嘘をつくのはよくありませんよ」
男「嘘なんてついてませんよ、僕は」
男「あなたに話したことは、全部事実です」
女「いいえ。あなたは嘘をついてます」
男「なにを?」
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