そこからは本当にどたばたで、書類がどうじゃの役所がこうじゃのと、ややこしい話のオンパレードだった。
そして入学式には間に合わなかったが、
4月中旬から新生活が始まった。
まあ、最初の内は本当にぎこちない生活だったと思う。
お互いにへんな遠慮というか、
距離感がつかめないというか、
それでもメイが笑って学校の話をしたり、
社長娘と遊びに行ったりしたことを
楽しそうに話すのを見て、
本当にこうしてよかったと思った。
同居を始めてしばらくしたある夜、メイが寝ている部屋で悲鳴が聞こえた。
部屋に行くと震えながら泣いている。
落ち着くのを待って話を聞くと、あの事故のことを夢で見たらしい。
事故の瞬間のことは、
ショックや気を失っていたことで憶えていないが、
唯一憶えていることが、
救出直後の母親と話したことだった。
血まみれの母親がメイを呼び、
「よかった、よかった、あんたが無事で、よかった、お父さんは?」
メイはよく判らないまま答えた。
「お父さん元気だよ、大丈夫だよ、お母さん、お母さん!」
ただ、もうそれに母親は答えることはできなかった。
そのまま意識を失い、
そういう会話をしたことだけしか、
メイも憶えていないそうだ。
その場面を夢に見た。
しかも、これまでも月に2~3回は見て、どうしようもなく怖いらしい。
俺の腕にしがみついて、泣きながらその話をしてくれた。
話を聞きながら、何もしてやれないことが、どうしようもなく辛かった。
その日はメイが落ち着いた後、
ぐっすり眠るまで隣で居てやることしかできなかった。
どう考えたってトラウマになるよな。
その後も、たまに同じようなことがあり、
俺がメイの部屋で傍に居てやったり、
逆にメイが俺の寝ている横に来て、丸くなってることもあった。
少なくとも、そうすることで安心できてたのなら良かったと思う。
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