ビートたけしが売れるようになった途端、お金を催促する母
たけしさんのお母さん、北野さきさんは、子供の教育に熱心な良妻賢母。
たけしさんの子供の頃には、「飯に金をかけるよりも参考書を買う」と言って、教育費のために生活費を削ることもあったそう。
北野家は、そんなお母さんのおかげか、長兄の北野重一さんは会社の取締役、次男の北野大さんは大学教授と、たけしさんの2人の兄も社会的成功を収めて活躍しています。
たけしさんも高校時代の成績は優秀で、明治大学工学部に現役で合格し入学。
ところが、大学になじめず勝手に中退。親の心配をよそに、芸人として活動を開始します。
たけしさんが芸人として売れるようになった途端、お母さんはたけしさんと会うたび20万円、30万円とお金を要求するようになります。
「病院代をくれ」
「今までお前を育てた費用だから」
「水道の修理代をくれ」
教育熱心で優しかった母親が変わってしまったことに、たけしさんはショックを受け「因業ばばぁめ!」と悪態をついていたそうです。
ビートたけしの将来を案じた母の思いが泣ける!
北野さきさんの晩年のこと。
たけしさんは姉から1冊の通帳を渡されます。
なんと、通帳の中には、お母さんの年金から少しずつ出したお金と、たけしさんに要求していたお金がそのまま入っていたのでした!
1円も手をつけられていないその通帳は、1000万円近くにもなっていたとか。
芸人というのは人気が無ければ無職同然になってしまう商売。
兄たちと異なり、不安定な仕事をしているたけしさんを案じ、失敗しても大丈夫なように貯金をしてくれていたのでした。
常日頃、たけしさんのお母さんが言っていた言葉
「子供の貧乏は親の責任」
「親の貧乏は子に連鎖する。それを断ち切るには教育しかない」
お金を催促し、嫌われてまでも息子の将来を心配していた母の深い愛情。
たけしさんは母の本当の思いを知って泣き崩れるのでした…。
なんて素晴らしいお母さんなのでしょうか。たけしさん、愛されていますね。
ビートたけし号泣!母親さきさんへの思い
たけしさんの母・北野さきさんは、1999年8月22日、95歳という大往生でこの世を去りました。
通夜で記者の囲み取材を受けたたけしさんは、はじめは気丈に振る舞ったものの、途中から涙声になり、言葉に詰まりながら母への思いを語り始めます。
Q.お母さんの95年の一生っていうのは、お子さんにかけた一生でもあったんじゃないかと思うんですけど。
-(たけしさん、絶句する)
Q.私がインタビューしたときに「感謝の気持ちが大事なんですよ。子供にも、他人にも」ということをおっしゃっていたんですけど。きっと、4人のお子さんに感謝しながら。
-母ちゃんのおかげですね。すごい親だから。
Q.いちばん手をかけられたかもしれませんけど「どんなことをしてでも武を守る」って私におっしゃいましたよ、お母さん。
-怪我のときは「私の命がなくなってもいいからお前を助けてやってくれって言ったんだ!」って言うから、生きているじゃねえか!って言ったらエラい怒られた。
Q.みなさんがね、ここまで世界の北野武になるまで、お母さんがちゃんと見届けていらっしゃったんじゃないかって言っていらっしゃるんですけど。
-俺はまだ足りないことはいっぱいあるしね。芸能界でもまあ、あまりいい噂はないし嫌われ者だから、きょうなんか特にいろいろな人が来てくれて、申し訳なくて、それはおふくろの力だと思いますよ。
Q.お母さんのおかげだっていうことは、お母様に直接伝えられたんですか?
-そのうちあの・・・いい子だな、って言われるようになりますって言って、、、お願いしました。
Q.たけしさん、きのうはね、お母さんのそばにいらっしゃったということですけど、やっぱり黙っていてもいいから、いつまでも元気でいてほしかったでしょう?
-親ですからね。
Q.また叱ってもほしい?
-やっぱり、俺もいい歳だけどやっぱり親がいなくなると、なんかもう、、、気が抜けてね。。。
Q.ご自分がいちばんマザコンだっていうふうにおっしゃっていましたけど、お母さんってやっぱりいいですか?
-うん。やっぱりいい。
Q.どんなことを思い出しますか?
-俺の見ていた母親っていうのは、いつも働いていて、いつも泣いていた親だから、感謝している。。。
Q.お母さんが一生懸命働いて、お子さんたちを一生懸命育てて、その後ろ姿をお子さんたちがみんな見ていらっしゃって。
そこまで話すと、たけしさんは絶句して堪え切れなくなり、大勢の取材陣そしてカメラの前で、膝から崩れ落ちて嗚咽をもらすのだった。。。
Q.お母さんの95年の人生はどんな人生だったって思われますか?
-俺はもう、あれだ・・・あの、よかったと思ってほしいと思っています。。。
Q.いちばん親孝行されたのはたけしさんだってお兄様もおっしゃっていますが?
-そんなことないですよ。うちの兄貴のほうが、本当にいい人だから、兄貴たちがいなきゃ、俺みたいな出来損ないが生きていけなかったし、なんか家族がみんなで俺のことを支えてくれたから。
Q.それはやっぱり、たけしさんがいい方だからなんですよ。
-これからもう、あんまりいい人になったって言われるのもね、恥ずかしいけども。
Q.お母さんに最後にはどんな言葉を贈りたいですか?
-もうちょっと偉くなってみせるってずっと言っています。
Q.お母さんの表情はどんな表情をしていましたか?
-「大げさなことやりやがってバカ野郎」って言っていると思います。
Q.お母さんは安らかですか?小さくなっちゃった?
-小さくなっちゃった。
Q.棺の中にはこれだけは入れて差し上げようと思うものはありますか?
おふくろは死んでも背中に乗っかっているなという感じがするので、やっぱり、もうちょっとがんばって、いい仕事をしようと思っています。
大勢の取材陣そしてカメラの前で、膝から崩れ落ちて嗚咽をもらすたけしさん…。
母親との思いを馳せるたけしさんが口にした言葉
「お母さんは小さくなっちゃった」
たけしさんにとって母親は偉大な存在で、深い敬愛の思いが溢れています。
今では、自ら「母のことが好き」と公言されているたけしさん。素晴らしい親子愛に涙が止まりません。