恒例のスピーチ
2016年末のことです。
イチロー選手が自ら大会長を務める「イチロー杯争奪学童軟式野球」での一幕です。
大会の閉幕式で、集まった野球少年たちと、ゲストとして登場していた同大会出身のDeNAの関根大気外野手(21歳)を前にして、恒例となったスピーチをイチローが行いました。
イチローの大会でのスピーチの一部です。
今年の僕がみんなにかけてあげられる言葉を少し探してみました。今年メジャーリーグで3000というヒットを達成することができました。こういうことがあると、たくさんの人から褒めてもらえます。そして、イチローは人の2倍も3倍も頑張っていると言う人が結構います。でも、そんなことは全くありません。
人の2倍とか3倍頑張ることってできないよね。みんなも頑張っているからわかると思うんだけど。頑張るとしたら自分の限界…自分の限界って自分で分かるよね。その時に自分の中でもう少しだけ頑張ってみる。ということを重ねていってほしいなというふうに思います。
みんなが今、ボクを目の前にして…日本のプロ野球で何年かやってアメリカに行って16年終わったんだけども、そういう目に見える結果を残したからそんなふうに言えるんじゃないかって思っているかもしれないけど、それは全く違っていて、僕もみんなと同じように野球少年だったし、ここに今日来てくれた関根選手もみんなと同じ。しかも彼は毎年、1回戦負けの選手でした。ね? みんなの方が成績がいいんだよ。現段階では。
彼もきっと人との比較ではなくて、自分の中でちょっとだけ頑張った。そのことを続けていくと、将来、思ってもいなかった自分になっている。と僕は思うし、実際、僕だってメジャーリーガーになれると思っていなかったし、アメリカで3000本打てるなんてことは全く想像が当時できなかったんだけど、今言ったように、自分の中でちょっとだけ頑張ってきた。それを重ねてきたことで、今現在(の自分)になれたと実感している
人の2倍も3倍も頑張ることはできないけれど、自分の限界に対して、もう少しだけ頑張ってみることを重ねてほしいとイチロー選手は語りました。
イチロー選手の言葉は、子供にもわかりやすく、経験に基づいた言葉にはとても重みがあります。
イチローが伝えたかったこと
他人と比べて自分の価値は決まらない。限界だと感じても、そこでもう少しだけ頑張ってみる、それを積み重ねることが大事
子供たちだけではなく、大人にも響いてくるまさに名言です。
現実の社会で揉まれるうちに、ついつい他人と比べてしまい、自分の価値を決めてしまうクセがついてしまいます。
それは時に、人の心を摩擦させ、披露させる行為でもあります。
他人の「評価」を気にしすぎたり、競おうとするのではなく、自分が自分をコントロールすることに目を向け集中することが重要です。
それによって得られた結果が大切なのだとイチロー選手は教えてくれています。
響くのは苦難を乗り越えたイチローだから
メジャーの150年近い長い歴史の中で、たった30人しかたどり着けなかった3000安打をイチロー選手は達成しました。
その偉業を遂げたイチロー選手だから発することができた言葉だからこそ、人々の心に響きます。
我々には想像もつかない厳しい道のりだったはずです。
華々しいニュースの裏で、どれほどの苦難を乗り越えてきたのでしょうか。
尊敬に値する彼の言葉だからこそ、深く胸に迫り名言となって心に残るのでしょう。
間もなくスプリングトレーニングがはじまろうとしています。
今年はどのような活躍を見ることができるでしょうか。
人々を魅了するそのプレーが待ち望まれます。
今回のイチロー選手のメッセージは、どのように響き、どのように感じたでしょう。
単なる野球選手としてではなく、彼の人となりにこれからも目が離せません。