インターネットの発展がメディアの信頼性を失墜させた
池上さんは報道は危うさを抱えたものだという点から話し始めた
「戦争はメディアを活発化させます、部数を伸ばし視聴者が増える。日中戦争の時に「勝った」で新聞は部数を伸ばし
ラジオは聴取者が増えた。CNNは湾岸戦争で伸ばしたけれど、イラクの侵攻の際にはFOXが視聴率で逆転した。
CNNが「アメリカ軍」と表現するところを「我が軍」として、愛国心を大々的に煽ったからです。」
視聴者が見たいものを報道することが数字を伸ばす。それが歴史的に見たメディアの現実であり「危うさ」だ。しかし、池上さんは
「ニュースに関しては、知りたくないことでも、伝えなければならないことは伝えるという風にやってきた。そこが信用された。」
と付け加えた。池上さんはネットの発展がメディアの信頼性を崩したと考えている。
「ネットには新聞やテレビで報じられていないことが出る。『大新聞やテレビ局が報じない真実』という
昔の週刊誌のような見出しで『ネットにしか出ていない。本当はこうだったんだ。新聞やテレビは隠している』という
誤解が広がり、ネットの方が信頼できると感じる人が増える」
と池上さんはネットが信頼性を崩したと説明。ネットの情報を増幅させる力が誤解や誤報を拡散させメディアの信頼性を失墜させているのは事実であるが、DeNAの「WELQ」問題以降はネットメディアの内にも自浄の動きがみられる。
また、池上さんが不定期で出演するテレビ番組には、新聞やテレビがメディアとして必要とされている理由が見受けられる。
テレビでは大掛かりなセットを使用し、多くのスタッフを投入、国内各地で最新最先端の技術を時間をかけて取材、紹介していく。
池上さんがMCを務める「ニッポンの得意技SP」シリーズ第四弾でのことである。
これだけの時間と予算をかけてコンテンツを作る力は日本のネットメディアにはない。また、そうした方向で情報を捉えてもいない。池上さんが自身でMCを務め番組で丁寧に情報を流していくのは「情報を伝える」本来の姿を自身が体現しているからである。
ネット上で拡散されている大半の情報が消費型なのに対して、価値を持った本当の情報を伝えたいと思っているからである。