アイドルグループNMB48で中心となって活躍中の山本彩さん。2016年、彼女にとっては大きな変化の年でした。『第8回AKB48選抜総選挙』で自己最高の4位を獲得、ライバル的存在だった渡辺美優紀さんが卒業。
10月にソロデビュー。『夢の紅白選抜』という『紅白』の企画番組では見事1位を獲得しました。そして今回、彼女の想いを赤裸々に綴った1stフォトエッセイ『すべての理由』(幻冬舎刊)を執筆しました。
そんな彼女がインタビューを通して、NMB48に対する自身の本音や曲作りでフィギュアスケート・羽生選手に影響されたことについて語ってくれました。
「自分を自分でがんじがらめにして…」NMB48での過去の本音
――初のフォトエッセイですが、これまでの楽曲制作の経験は執筆に役立ちました?
山本彩 それは大きいと思います。もともと自分のことを書き表すのは苦手だし、今までいろいろなことがあったこともあり、自分の考えをはっきり人に伝えることがなくなってきていたんです。
ブログを書くのも苦手で、いつも結局あきらめちゃったりして…。でも、アルバム制作で久しぶりに自分と向き合って、感情に素直に歌を書くことで、自分の考えを言葉にする感覚を思い出しました。
今回は、わりとポロポロと心の声が出たなという感じです。
――エッセイは中学生時代まで遡っています。一度メジャーデビューして解散という経験は、バネになっていますか?
山本彩 その経験があったからこそ、NMB48で起こったしんどいことも乗り越えて、当時の気持ちも克服できました。
昔は、メジャーデビューの経験自体が嫌なことだったんですけど、そうは思わなくなりました。
――NMB48での“しんどいこと”とは?
山本彩 予定調和じゃないグループだったので、昔はサプライズや変化を起こすことの大事さがわからなかった。
今となってはいい風に働いたと思えますが、当時はひとつひとつがツラかったです。
あとは、すごく比べられてた時ですね。卒業しちゃったんですけど、みるきー(渡辺美優紀)とずっとライバル関係で見られていることは、しんどかった。比べられていることを前提にすべてを考えていたんです。
「あっちはこうだから自分はこうじゃなきゃいけない」みたいに、自分を自分でがんじがらめにして頭が硬かった。
――渡辺さんが昨夏に卒業して7ヶ月。山本さんとして何か変化は?
山本彩 今は、グループを俯瞰して見られるように、目線が変わったと思います。
みるきーが卒業して以降、新しく頭角を現すメンバーが出るべきだと思いますし、そのために自分は何ができるか、よりグループのことを考えるようになりました。
周りから渡辺美優紀さんとライバル関係だと見られていたことで、がんじがらめになったこともあったという山本彩さん。自分でも気づかないうちに周りの見かたにプレッシャーを感じていたのかもしれませんね。
今ではグループの中心として、よりグループのことを考えるようになり、キャプテンとしての頭角を現してきています。
――NMB48はそれぞれの強みを生かしたソロ活動も盛んですが、今のメンバーたちの活躍をどう思いますか。
山本彩 すごく頼もしいなと思います。普段は、“プロデュースしてもらう中で、自分をどう見せるか”が勝負だったんですが、それだけではどこか満足できないNMB48メンバーの性格がいい形で表れている気がします。
メンバーもすごく生き生きしていますね。とくに、私と同じ1期生の吉田朱里はすごい。
最初に「YouTuberをやりたい」と言った時は、私も“それってどうなの?”と思ったんですけど、今となってはそれが代名詞となり、お仕事にもつながっている。しかも、根底になる部分は崩さずに進化させて、しっかり自分の意志でやっているのがすごいですね。
――一方で、本の中では「みんな対自分」のように考えてしまう孤独がある、とおっしゃられていて。キャプテンをやめたいと思ったことはありますか?
山本彩 やめたいと思ったことは一度もないです。
――その“孤独”とはどう戦ってきたんでしょう?
山本彩 答えがない、と思ったのが一番です。私以外にもチームにはキャプテンがいて、それぞれ形やあり方が違う。正解がないからこそ、“こうでなきゃいけない”という決まりはない。
変にキャプテンということを考えないようにしてからは、やりやすくなりました。
それに、ソロ活動をしてグループに戻ると、ホッとするところはめちゃくちゃありますね。
――そんな山本さんから見て、今のNMB48の課題とは?
山本彩 グループで目標は欲しいと思います。今はメンバー個人がそれぞれの目標に向かっているということもありますが、例えば昔なら「今年は紅白に出たいです!」みたいな。
グループとしての目標がある時って、向かう方向が一緒というだけでもすごく団結が生まれていたので、今こそ一体感がほしい。卒業が続いていたりするので難しいところはあると思うんですけど、“だからこそ”とは思います。
あと、自分を捨てる覚悟は全員があるべきかなと思います。自分の気持ちを捨てても、チームに必要な選択ができるように。
キャプテンとして孤独を感じることがありつつも、自分自身もグループの一員であると考えることでみんなと一緒に日々活動に励む山本さん。グループへの想いは誰にも負けないような、そんな強い意志と覚悟を感じますね。
真剣に考えてくれる人だからこそみんながついてきてくれる、そして活動をする中でメンバーが一丸となることで大きなパワーが生まれるのでしょう。
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