子どもの頃から立派な体格、当時のあだ名は「ブッチャー」
身長１８０ｃｍ、体重１５２㎏の千代大海龍二は大分県大分市出身で九重部屋所属の元大相撲力士です。２０１０年１０月２日引退相撲断髪式で九重親方による止め鋏が行われました。
千代大海（本名須藤龍二）は大変な悪童で大分の龍二と言えば僕でも知っている位の有名な人だったと佐賀県出身で同年代のはなわも語っています。
やくざ数人と喧嘩したところ、気に入られスカウトされたこともあったといいます。よくいえば肝が据わっていたんでしょうね。
補導歴９回という大分の伝説の不良でしたが、柔道を習っていたこともあり目上の人間には礼儀正しく接し、弱いものいじめは決してしなかったといいます。また卒業式では涙を見せる心は温かい持ち主でした。
中学時代から格闘センスは抜群！
中学３年の時に年齢を偽り極真空手の大会で３位に入賞するなど当時から格闘センスは抜群だったようです。中学時代に市内の相撲大会に出場し優勝。決勝戦の相手がお笑い芸人パンクブーブーの佐藤哲也。世の中広いようで狭いですね。
推薦で高校を受験するも不合格に終わり、中学卒業後は鳶職になりましたが長くは続かなかったようです。
母親を安心させるため大相撲入りを決意
相撲について知識がほとんどなかった千代大海でしたが、どうせなら最強の人の弟子になろうと元横綱千代の富士の九重部屋へ入門志願に出向きますが、剃りこみを入れた金髪の姿をみた千代の富士に「その前にこの頭を何とかしてこい！」と一蹴され、さすがの九州で名を轟かせていた千代大海もすくみ上がりました。
それまでどんな場面でもビビったことがなかった千代大海でしたが、あぐらをかいて座っていた千代の富士に恐怖心を抱いたと語ります。
千代大海の四股名は大分の「大」と北海道（出生が北海道）の「海」を合わせて大海と母が考えました。
自由のない相撲部屋の生活
不安になった千代大海は先輩力士に尋ねたそうです。いつまでこんな生活を続けるんですか…と。先輩力士は「相撲で勝って、番付を上げてゆけば俺がお前の買い物をすることになるんだよ。」と答えました。
もともと根性があり素直な千代大海は模範的な弟子だったようです。しかし、その裏には千代の富士の威厳が圧倒的だったからとも回顧しています。
１９９２年（平成４年）１１月場所に初土俵を踏み、１９９５年（平成７年）７月場所に２年半というスピードで十両昇進を果たしました。
千代大海大関昇進！若乃花、貴乃花に次ぐヒーローとして期待された
生涯通算成績は７７１勝５２８敗。
３回の優勝を果たし将来の横綱も期待されていましたが、晩年は怪我に泣かされた力士でもありました。
２０１０年１月場所は西関脇の位置に置かれ、大関特例復帰が無理なら引退する不退転の覚悟で臨みましたが、初日は稀勢の里に2日目は北勝力に敗れました。
３日目には大関として共に支え合ってきた魁皇に送り投げで敗れ初日から３連敗してしまう千代大海。
そして、現役最後の取り組み千代大海ＶＳ魁皇の取り組みが行われます。
この日のＶＴＲを千代大海は引退の潮時を悟り、この一番を最後に翌４日目に現役引退を表明しました。
この時、「偶然だったんでしょうけど、最後は魁皇関でよかった」とコメントしています。
引退会見では、不良少年だった幼少期から角界入りして大関まで昇りつめた自らの人生を振り返るように「一つの目標を持てば人生が変わることもある。若い人にそれを伝えたい」と涙ながら語りました。
引退後は、年寄名跡の「佐ノ山」を襲名すると共に九重部屋付の親方として指導に当たっています。そして、千代の富士の急逝に伴い九重部屋を継承することになりました。
「１年前に“次はおまえが引っ張っていけ”と言われていた。名門のプレッシャーはありますが、頑張りたい」「師匠から教わった相撲道を体全体に焼き付け、一生忘れずにこれからも守っていきます」
千代大海に部屋を引っ張っていく器があることを千代の富士は最初から見込んでいたのかもしれませんね。
