磨きをかけた器がさらに光り輝く如く
「歌丸さんの落語はまさに完成品。傷などがなく、まるで釉薬(うわぐすり)のかかった器が年を経て変化するような色艶が感じられます。息を吸うのも苦しいとおっしゃっていましたが、歌丸さんにとって息をする事は生きる事、生きる事は落語をする事なんだと思います。66年をかけて築き上げて来たものの大きさ、すごい芸に触れたという思いです」
対談後、45分にわたる歌丸さんの落語を鑑賞した古舘さんは、深く感動していました。
対談で歌丸さんが漏らした一言については、「びっくりしましたが、打ち明けてくださって嬉しかった」と感謝しつつも、「高座を拝見する限り、覚悟は決まっている」とも感じたようです。
「声が出なけりゃミイラと同じ」と、客を笑わせるために高座に上がる歌丸さんの真の姿に、古舘さんはどこまで迫れたのでしょうか。