どうやら女性が泣いているらしかった。
そういえば吐く時って涙出るよなぁと感傷に浸っていた。
手首にポタポタ落ちてくる涙がなんとも切なかった。
俺が降りるはずの駅はもう間もなく着く頃だが、
この女性を放って降りる気にはなれなかったのでやむを得ず乗り続けるのを覚悟した。
それより、この状況で見て見ぬ不利をする周りの人々にさすがにやや苛立ち始めていた。
でも無理もない。俺だって逆の立場であれば見て見ぬ不利をしていただろうし…。
はぁ…。
さて、これからどうしようかと途方に暮れそうになっていた時。
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