女「……手、引っ張ろうとしても触れないんでしたね」
男「スケスケですからね」
女「でもついてきてください」
男「わかりました」
男「うわあ、クリーニングされたんですね。すごいきれいになってます」
女「わたしの部屋よりきれいですね」
男「でも、なにもありませんね」
女「わたしたちしかありませんね」
男「……」
女「なにか感想は?」
男「いえ、正直この部屋を見ても、なんの実感もわきません」
女「ここで昔暮らしてたんだ、とかそういうのもありませんか?」
男「ひょっとして、僕を気づかってここにつれてきたんですか?」
男「だとしたら、申し訳ないんですけど……」
女「わたしは気づかいが苦手な人間です」
男「知ってますよ」
女「ここに来たのは、見てみたかったからです」
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