女「空腹は最高のスパイスって言葉は知ってますよね」
女「あの言葉って人間のバグを端的に表してると思うんですよ」
女「お腹がすいてるって理由で、食べ物がおいしくなる」
男「ああ、なんとなく言いたいことがわかりました」
女「これが最期の食事だと思ったら、なにか変わるかなって思ったんです」
女「変われば、わたしはこれから死ぬってことをより実感できますからね」
男「ハンバーガーの味はどうなんですか?」
女「よくわかりません。普段よりおいしい気もしますし、変わらない気もします」
女「ひょっとしたら、わたしは味の変化を認めたくないのかもしれません」
女「自分でも、どうしてそんなことを思うのかはわかりませんけど」
男「僕にはなんとなく、あなたの気持ちがわかりますよ」
女「気持ちわるいこと、言わないでください」
男「まあまあ。そう言わずに。僕の話を聞いてくださいよ」
女「……勝手にどうぞ」
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