そんな話を奥さんとしゃべってたら、「実は・・・」と教えてくれた。
母親の得意料理がクリームシチューだったのだ。
何年も前のことだから、作り方も味もよく憶えていない。
けれど何とか作ってみたい。
健気だね、この娘っ子はほんとに。
だからしばらくシチューは続いたが、文句言わずに食べてた。
ある日に作ったシチューは自信作というか、
記憶にあるシチューの味に近かったんだろうな。
「どう、美味しい?どう?」
ってしつこく聞いてくる。
もちろん旨かったのでそう答えたら、
妙に嬉しそうにしてたから、ついポロっと聞いた。
「お母さんのシチューができたか?」って。
そしたらメイのやつ、硬直して、
なんか泣きそうな顔になったんだ。
思わず俺の方がおろおろしたな、あの時は。
「なんで知ってるの?」
ってメイに聞かれて、奥さんから聞いたことを話して、
「思い出の味だろ?良かったな」
って言ったんだよ。
そしたらなんて言ったと思う?
「ご免なさい」だよ。
なにがご免なさいなんだ?って思うよな。
さらに
「ご免なさい、マサトおじさんがいるのに、お母さんのことなんか思い出そうとして」
だよ。
まったくメイのバカたれが。
メイの言うことによると、
俺の世話になりまくってるのに、
今更両親のことを引っ張り出すようなことをしたら、
俺が嫌がるんじゃないかって思ったらしい。
いやいや、そんなこと思うならシチュー食わすなよ。
と言うか、俺がそんな風に考えると思ってたのか!
なんかそんな感じで無性に腹立たしくなって、哀しくなったな。
だからこう言った。
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