S社に比べるとかなり格が落ちてしまうが、
俺はとにかく結果が欲しかった。
A社の編集さんは恐ろしく優しかった。
志望雑誌のレベルを下げたこともあり、
俺は初めてそこの賞で期待賞を獲った。
これは本当に嬉しかった。
受賞者は名前とカットが雑誌に掲載されるのだが、
その雑誌が発売される日は、
近くのコンビニまで0時を回ってから、
自分のカットをチェックしに行ったくらいだった。
その時点で俺の年齢は21歳。
大学に行った奴らは3年生。
もうすぐ就職活動という時期。
順調に人生を歩き始める同級生。
この波にきちんと乗れれば、何とか彼らと肩を並べられるな…とか、
そういうことを思ってたのは今でも覚えている。
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