「生活がかかってますからね」中川家・礼二が今のお笑い界の風潮に入れた鋭いメスに考えさせられる

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「不仲VS仲良し」=「大阪芸人VS東京芸人」?

仲が悪い方が仕事としてうまくいく、という考えをもとに実力を上げてきたのは主に大阪芸人。厳しい師弟関係、先輩後輩関係をはじめ、過酷な中で自分を磨いて実力をつけてきた人たちですね。
こういった遺伝子が下の世代へと受け継がれていった結果、大阪芸人は「不仲派」のコンビが増えたのではないでしょうか。
一方、その後に活躍し始めた東京芸人は、大阪芸人とはそもそも育ってきた環境が異なります。大阪芸人が受け継いできた厳しさとは別のところで成長してきたことが、今このような違いになって現れてきているのかもしれませんね。

芸能界の「仲良きことは美しきかな」という風潮はいつ生まれたのか


メディア研究家で、たくさんのエンタメ記事を手掛ける衣輪晋一さんはこう語ります。

コンビ仲が良い芸人に東京芸人が多いのは、関西のお笑いとの差別化を図った一面もありますが、

お笑いコンビは仲が悪いといったイメージがスキャンダルを超えて一般化されてきたところで

その反動として仲の良さほっこりが注目されるようになったことも大きいのでは。」

流れのきっかけとしては、さまぁ~ずさんの躍進ではないでしょうか。
『さまぁ~ず×さまぁ~ず』(2007年~テレビ朝日系)に見る様な、仲睦まじいコンビ仲のトークは当時とても新鮮で、関西のお笑いにはないほっこりした気分を提供してくれました。
最近では、チュートリアルの福田充徳さんのプロポーズに相方・徳井義実さんが立ち会ったことが話題になるなど大阪芸人にまで波及するに到り、コンビ仲の良さはいまやお笑い界の〈推し〉のひとつとして定着したと言えます」
仲の良いコンビ芸人は最近では、相方との友情を語る場面もしばしば。これはファンにも好評なようです。続けて、衣輪さんはこう分析しています。

「こうした流れは、メンバー仲が良いことで業界内でも好評だったアイドルグループの嵐がブレイクし始めた2006年頃からの

動きとも重なるように感じられます。お笑いだけではなく、芸能界全体の流れなのかもしれません」

この風潮に一石投じる意見も。

一方で、この中の良い風潮に反論する意見も見られます。中川家の剛さんはこう語ります。

「ちょっと仲良すぎかなと思うことはありますね。僕個人としてはですが、ああいう感じはあまり見せない方がいいと思うんですよ。

昔はもっとギスギスしていたというか、ピリピリした緊張感がすごくあって競い合っていました」

確かに近年は、芸人同士がしのぎを削るコント番組よりも、バラエティ番組が芸人たちの主な仕事となっていますね。これも、芸人たちのライバル意識が希薄する一因なのかもしれません。
これにつけ加えて礼二さんはこうまとめました。

「その空気感(ピリピリした緊張感)がステージでのいいものにつながっていた感じはありますね。

バラエティのひな壇でもわちゃわちゃトークで盛り上がるだけではなくて、誰かに何かを言うときはちゃんとオチをつけたり

しっかり振り方を考えてから前に出ないとっていうのはありますね。

生活もかかっていましたから、それだけ笑いに真剣だったんです」

『一周回って知らない話』では最近、アンジャッシュの二人が不仲であることを告白し、ネットでも注目。
渡部さんは、仲が悪いおかげで本気のネタが作れることなど、必ずしも仲良くある必要はないと述べました。衣輪さんはこれについて、こう解説。

「仲が悪いことを武器にアピールしていく姿勢は、今のコンビ仲の良い芸人のアンチテーゼとして新鮮です。

さまぁ~ずの躍進や、同時多発的に起きた嵐のブレイク頃が仲の良さブームの始まりだとすれば、すでに約10年が経過。

『ひな壇芸人による視聴者置いてけぼりの内輪ノリに飽きた』との視聴者の声も聞かれますから

再び潮目が変わる時期に入ったのかもしれません」

きっと、コンビのあり方としてどちらが正解か、ということはないんでしょうね。どちらにも魅力があって、欠点もある。一方が当たり前になるともう一方が新鮮に感じ、また時間が経つと元の方が評価される。
評価というのは季節のように移り変わっていくものなのかもしれませんね。